“誰ともかぶらないものが生まれるワケ” 〜工作ワークショップ講師あいざわいさなさんインタビュー(工作ワークショップ)

ーーふだんはどんな活動をしてるんですか?

あいざわいさな(以下”あ”:イラストレーターの仕事と並行して、幼稚園や小学生の学童での工作教室やこども向けイベントでの工作ワークショップ、はたまた映像美術や会場装飾まで、興味のある事にはなんでも挑戦しています。

ーー子どもたちとの工作教室ではどんなものを作っていますか?

あ:これはこども園での6月の工作教室にて年長クラスで制作した「ゆらゆら揺れる・あじさいカタツムリ」です。

打ち合わせでは定番の折染めで紫陽花作りをやろうかという話だったのですが、色々試作しているうちに、動きがあった方がこどもたちは喜ぶだろうな、と思い企画を練り直し、動くカタツムリと紫陽花を合体させることにしました。

カタツムリは色とりどりに仕上がり、ゆらゆら動く姿にこどもたちは大興奮でした。

ーーこれはすてきですねえ。子どもたちも楽しかっただろうなあ。工作のせんせい、として、子どもたちをどんなところに導いてる感じなんでしょうか?

あ:自分の手でなんでも作れると知ることや、自分が「これが素敵だ!」と納得出来ればそれで良いと思うので、完成に正解なんて無くて、自分で作り出すものやその価値観に自信を持たせることだと思います。

もちろん器用不器用、得意不得意もあります。

完璧に道具を使いこなせるようになれば素敵ですが、不器用さに関しては最初のフォローはしますが、あとは自分次第だと思うので執拗に教えたりはしません。

おとながあれこれ口出しするよりも、お友達のやり方を見て気づいたり、自分で工夫を発見するちからがつくと良いなと考えています。

「ちゃんと教えてくれない!」とこどもたちに怒られることもしばしばありますが(笑)。

ーーなにかを作ってるときの楽しさを思い出しますね。なんで工作の楽しさってなんなんでしょうね?

 

あ:私は陶芸家の両親の元、栃木県の益子町で生まれ育ちました。

こどもの頃、流行りのファミコンなどは家に無かったので、その代わり、自然の中で想像力豊かにたくましく遊びました。

山を駆けずり回るのはもちろん、両親の作った器の失敗作が庭に転がっていたので、それに葉っぱや泥や木の実を入れて四姉妹でおままごとに没頭したり。

父は庭の桜の木にターザンを作ってくれたり、他にも高いところから滑車で滑り落ちるブランコ(怪我人続出)やプールなど、魔法のような早業で遊び場を作ってくれて、毎日友達を呼んでは夢中で遊びました。なんでも自分で作ると楽しい、というのは、両親から教わったんだと思います。

ーーあー楽しそうだなあ。いいお父さんですね。なんでも作れるお父さんになりたいです(笑)。

「なんでも自分で作ると楽しい」、というのはNU VILLAGEでもたいせつにしているところです。自分で作ると、自分の思い通りに作ることができるという楽しみもありますが、逆に思い通りにならない、という楽しさもある気がします。たとえば自然の素材を使うときは、カタチは思い通りにならなかったり。でもそれをどう使うか、という楽しみもありますよね。

あ:本当にそうですね。

どうしてもワークショップや教室では不平等が無いよう材料をきっちり同じサイズ、同じ形に準備する事も多いのですが、実は私はそれは不満で…(笑)。

同じようなものを使って同じゴールが想像出来てしまうのはつまらないなあと感じます。かと言って自由すぎてもまた、個人差が出て楽しめない子も出てきてしまいます。なので、きっちり準備する材料の他に沢山の選択が出来るよう自由度の高い素材を沢山準備するようにしています。そうすると、誰ともかぶらない作品が生まれると思うので。なので私の教室はいつも大荷物で大変ですよ。

ーー”誰ともかぶらない”、というのはいいですね。本来みんなだれともかぶらないはずですもんね。子どもたちといっしょに工作していて、いさなさんが楽しいのはどんな時ですか?

あ:こどもたちの発想から、私の方がたくさんの刺激をもらっていますね。

毎回毎回、「みんな天才だ!」と叫びたくなっています。

あとは、最初は自分が作るものに自信が無く手が動かなかった子が、ちょっとしたアドバイスで楽しさを見出して、わくわくした表情に変わって見違えるようにイキイキしていくのを見るととても嬉しい気持ちになります。

私自身が結構繊細な難しいこどもだったので、「あの頃の自分だったらどうしてほしいと思うかな」というのをかなり声掛けの軸にしています。

ーーちなみに好きな素材はなんですか?

あ:木や葉っぱや木の実や土など、自然の中にある素材です。

ーーなるほど。どうして自然の素材はいいんでしょうかね? 

あ:それこそ、色やかたちに同じものがひとつとないところです。

ーーなるほど。たしかにそうですね。かぶらない!ですね。そうか自然はかぶらないんだなあ。

工作の楽しさに、身のまわりにあるものを使って、それを組み合わせて新しいものをつくる楽しさ、というのがあるように思います。こういうやりかた、日曜大工とかで、部品や素材を新しく買ってくるのではなく、ストックしていたものやありあわせのものを組合わせて新しいものをつくるやりかたのことを、フランス語でブリコラージュというんですが、工作はブリコラだなあと。自然素材を使うというのも、身の回りにあるものをうまく使ってなんか新しいものを創っちゃう、みたいなところがあるような気がします。

NU VILLAGEは、このブリコラージュというやりかたを実は(笑)、大事にしていて、そういうのがカッコイイし、人間にとって一番ベーシックで楽しいことなんじゃないかなあと考えてたりします。集まった人たちがそれぞれ持っているモノやスキルやパッションなんかを持ち寄って、それを組み合わせて新しいものを創っちゃう、創っちゃおう、みたいな。

あ:ブリコラ!良いですねー。メモメモ。

私は普段の生活がブリコラですよ(笑)。工作でも会場装飾でもイラストでも、何でもその場その場のライブ感がある方が好きです。もちろんきっちりきっちり考えて準備するのも大切だということは、私もブリコラが過ぎて失敗も経験したので(笑)、承知の上なんですが。やっぱりその場でのヒラメキは一番大切にしたいと思っています。それが一カ月かけて練った案だったとしても、その場で別の案をひらめいた場合は確実にそれを優先しています。

ーーやっぱり(笑)。ブリコラ臭感じてました(笑)。では好きな道具は?

あ:絵の具と筆です。

こどもたちに使わせると、思ったように扱えないかわりに予想外の素敵な作品がうまれるのでそれが面白いです。

ーー思ったように使えないというのも実は貴重な時間かもしれないですね。ヘタ、とかじゃなくて、うまくなっちゃったらできなくなる大胆さとかもあるかもしれませんしね。

ーーではでは、今回のNUVではどんなことを企んでいますか?

あ:NUVは初回から参加させて頂き、色々とチャレンジしてきましたが

今年はもっともっとイベントや自然とコラボできるようなワークをやりたいと考えています。

工作ワークショップではバードコールを作って、ミュージシャンや森の鳥たちとコラボしたり、体験ワークでは、ただただひたすらに穴を掘って水を流し込んで泥んこ遊びをしたり… 。コドモもオトナも大発散出来るようなしかけを考えていくので、ぜひ親子で参加してほしいです!

ーー当然楽しみにしています!ありがとうございました〜!


あいざわいさな

栃木県益子町生まれ
陶芸家の両親の元
手仕事を身近に感じながら自然の中で育つ
ものづくり四姉妹の三女

フリーランスの絵描屋と
こどもの工作教室のせんせいとして
全国を多岐に渡り活動中

長所
・好き嫌い無くよく食べる
・腕相撲すごく強い