NU VILLAGEのはじまりについて、振り返って書いてみました。
これは僕、奈良龍馬の認識しているストーリーなので、人それぞれに他のストーリーもあると思う。
事の始まりは、2013年4月。
2000年にOVAというど直球のアンダーグラウンドパーティを立ち上げ、当時のパーティシーンに多少なりともエフェクトを加えたオーガナイザーの1人として、自負を持っていた自分。
いつの日か家族を持ち、子供が産まれ、家族のためにと変わったわけではないけど自然の流れで勤めにも出て、夜遊びにいくことより、仕事で組織や社会を変革していくことに楽しみを覚えていた。
3.11を経て、2013年。
ひょんな縁で下の息子を入れた保育園から、人生の新たな歯車が動き出していた。
ビオキッズ
世田谷で野外保育を実践している大きな木保育園入園直後に、園児父の植田泰(やっし)に呼び出され、羽根木のプレ−パークを舞台に子育て・外遊びをテーマのイベントをやりたいと相談を受ける。
そこにいたメンバーは、後にNU VILLAGEを一緒にやることになる編集者の淵上周平(01年に長野で開催した野外パーティに来ていた!)に、下北沢でかまいキッチンという自然食を中心とした飲食店をやっている加藤久美子、そしてやっしの4人。なんだか面白そうなニオイに誘われプロジェクトが動き出す。
DJに自身も子育て中のShhhhhを誘い、銀杏の葉が舞い落ちる秋晴れの中でビオキッズを開催。
変な動きで踊るおとなに釣られ、子供たちがDJの音で踊り出す光景を見て、この先の未来、自分自身における可能性を感じた。
普段音楽が流れているのが当たり前の現場に居続け、いつしか新鮮に思えなくなってしまっていた自分。
参加してくれたお父さんから、「音楽があるとすごく気持ちいね!普段と違う」と言われ、音楽のチカラに気づく。
コドモたちが遊んでいて、楽しい仲間がいて、それだけでも十分楽しいけど、音楽があると時間の流れ方が全く違う。これが音楽のチカラだ!!
オリジナル8
ビオキッズから着想を得て、こんな楽しい時間を、夕暮れとか夜とか明け方とか、時間の経過の中で過ごせたらもっと最高だなと思い始める。
DJで参加していたshhhhhも同じことを考えていたようで、残雪の2014年1月、白州にある、べるがを一緒に見に行く。
温泉に川遊び、噴水広場。設備の整ったキャンプ場に管理施設、東京から2時間のアクセス。南アルプス天然水が流れる川があり、日照は日本一。遠く臨むは甲斐駒・八ヶ岳。
縄文時代から続く気候風土の良さは、そこに住む人々の気質と文化にも影響を与えていて、カラッと先駆的で開けている。
ここしかない!!
まったく新しいイベント、今までのフォーマットにはないやり方、コミュニティを作りたいと思い、中核メンバーとなっていく何人かに相談を持ちかける。
青山CAYで名物料理長森川さんの元でブッキングディレクターを勤めていた大形純平。
Sputnik時代から付き合いがあり高感度なアンテナを持つ国元正臣(彼とはその前年にも千葉のキャンプ場を見に行っている)。
博識の編集者・淵上周平と、その奥さんでデザイナーの淵上恵美子(ビオキッズやNUVのフライヤーを手掛けている)。
ソーラー・サウンドシステムRAを手掛けつつ、春風他野外パーティのクルーとして活躍する村上智章。
そして企業系のイベント制作のプロを自任する秦玲香。
DJのShhhhhに僕も入れて、これで立ち上げの8人。
ポイントは、既存の枠組みの中ではなく、常識を外れた新しいものを作り出せる柔軟な思考を持っているかどうか。イベントのプロだけで固めたくなかった。
その時点では、コドモとオトナが集まるイベントをやる以外のことは何も決まっていなかった。
NU VILLAGEへ
メンバーらと下見を重ねるうちに、イベント名をどうするかという話になってくる。
あ〜でもない、こ〜でもないと話すうち、コミュニティや人と人との関係性をどうつくるかという話になり、それってムラなんじゃない?ということになった。
●●ビレッジ。△△ビレッジ。う〜ん、いまいちピンとこない。
(今だから明かすがNiko Niko Villageになりそうな瞬間もあった^^;)
そんな時、べるがの上流にあり甲斐駒の登山口にあたる駒ヶ岳神社に参拝にいくことに。
吊り橋を渡り、爽健美茶のCMに使われているらしい川のせせらぎに足を漬けて、森の中しばしの休息を味わう一行。
水から上がり毎日履いているNEW BALANCEに足を入れた瞬間、降りてきた!
NEW BALANCE! NU BALANCE!
作ろうとしてるのは、新しい均衡、新しい世界。んにゅーな感じ。
「NU Village!」
一同異議なし!
コドモヨロコブ⇄オトナヨロコブ
イベント名が決まった時点で、開催日まで3ヶ月を切った4月。
ここから急ピッチで制作が進むことになる。
淵上周平が”ポトラッチ“という北米先住民の贈与合戦を指す概念を持ち込み、サブタイトルが”a potlatch camp”に決まる。
既存のお金の周りかたや物事の決め方とは別のやりかた、新しい仕組みでムラをつくっていきたい、ということで、その一からの作業はけっこう四苦八苦。
・物や知恵を提供してくれる ”ポトラッチャー”
・縄文時代にならい、事前には決めずムラの収穫(収支)が全部出てから分配や支払条件を決める ”Pay Later”
・出資した割合とリターンの割合は全く相関せず権限もない ”アンチ議決権システム”
そんな小難しい話の中、表に出る部分にはキャッチーさが欲しいと感じていた。
それでいて、つくろうとしている空間のことを言い表すコピー…
子供と大人が両方楽しんでいる場。どちらかが我慢するのではなく。
子供が楽しいと大人も嬉しい。大人が楽しんでれば子供も(たぶん)楽しい。
子供が喜ぶと大人が喜ぶの循環。
コドモヨロコブ ⇄ オトナヨロコブ!!
そしてデザイナーの淵上恵美子の手により、このアイコンが産まれることになる。
(僕はこのアイコンをとても気に入っていて、小学校の集まりのプリントなどにも拝借して使用している)
1年目開催!
1年目の開催は保育園繋がり、子供繋がりの人脈に助けられ、集客も想定するペイラインを超えるくらいには集まってくれて、いい雰囲気のまま終了〜。
意外な人が来てくれたり、意外な人に子供がいるのを知ったり、コドモを通じてオトナ同士も新たな繋がり方ができるのに可能性を感じた。
NUVを一緒につくってるメンバーも1/3くらいは保育園繋がりの仲間だったり、子供を通じて知り合ったわけだけど、自分自身にとっても一生の仲間だと思ってる。
そしてコドモを通じて、誰とでもすぐに繋がれる、仲間がどんどん増える。
NU VILLAGEヒストリー 〜シーズン1へと続く。