開村目前!NU VILLAGEの5つの楽しみ

今年もNU VILLAGEが近づいてきた。白州の森に忽然と現れる3日間だけのムラ。過去何度かムラ人のひとりとなったが、それらの個人的な思い出を回想しつつ、今年のNU VILLAGEの楽しみ方に思いを馳せたい。

①ムラ人生活を満喫する

NU VILLAGEは独特だ。音楽主体のパーティーやフェスとも違うし、アウトドアブランドが軒を連ねるファミリー向けのキャンプ・イベントとも一線を画す。

やはり「ムラ」なのだ、ここは。音楽もあるし、のんびり品定めしているだけで楽しいショップもあるし、刺激的なワークショップもあるし、やることは沢山あるけれど、タイムテーブルとにらめっこして「何時までにあそこに行かなくては!」と焦る気持ちには不思議とならない。なんとなくそこにいてムラ人として生活していればいい…そんな緩い空気感がたまらなく心地よい。

3日間いるうちに、なんとなくムラ人の顔が認識できる規模感も良い。そういえば去年は温泉で素っ裸で次女を抱っこしていたら、20年以上前に机を並べていた旧友(もちろん向こうも全裸だ!)にバッタリ出会ったっけ。

今年はポトラッチタープという仕組みも新たに導入される。ムラ人同士、共有でタープを使えるというナイスな提案だ。「同じ屋根の下で」という言葉あるように、「同じタープの下で」過ごした隣人同士、たった3日間でも、それはかけがえのないご縁だ。

この3日間はムラ人として、隣人とともに心地よい生活を満喫したい。

②新たな音と文化と出会う

NU VILLAGEにはどこかしらで音が流れている。音楽主体のイベントのように全員が一方向を見て踊るというシーンは決して多くないが、だからこそ踊りたい気分のときは踊ればいいし、テントからグッドミュージックに耳を澄まし、身をゆだねるのもいい。

「音庭」に出演が予定されているのは、先鋭のアーティストばかり。今年は盆踊りもあれば影絵もあり、村のオルガン弾きジョン(犬)も登場する。

昨年初登場したジョン(犬)は衝撃的だった。犬がオルガンの前に座った姿は、コドモのみならず、オトナも釘付けに。そこから繰り広げられる世界は、シュールでありながらユーモラス。コドモはそのうち怖がるか飽きるかと思いきや、多くが最後まで何かにとりつかれたように目を見開いて見ていたのにも感心した。

森の中で行われた影絵も、実にロマンチックな思い出として残っている。夜の森、木々がざわめくなかで不思議な光と影が浮かびあがり……。今でもあれは何かの幻だったのでは、という思いすらする。

今年はあの木々の中で、どんな音と文化と出会えるのだろうか。初の試み、盆踊りも楽しそう――そんなことを妄想するだけで、つい笑みがこぼれてくる。

③モノを介して人と触れあう

「あ、いたー!!!」

昨年のNU VILLAGE、歩いていると当然向こうから見知らぬ女性が満面の笑みで近づいてきて、ギューっとハグしてくれた。人違い?と一瞬思ったが、そうではない。

すっかり失念していたのだけど、昨年は到着して早々に「ポトラッチマーケット」に出品していたのだ。このポトラッチマーケットは、いわば物々交換。出品者はモノと一緒にポラ写真とコメントを添え、モノを受け取る人はポラ写真の出品者に会場で出会ったらハグ&ハイタッチでお礼するというもの。

出品したのはわが家で眠っていた古いけれどすてきな反物で、もらってくれた人はモノづくりをしているという人。この反物を使ってこんな物を作ろうと思ってる…なんて話をしてくれた。宝の持ち腐れだった反物が新たな命をもらえるのを嬉しく思うとともに、それ以降もその人とすれ違うたびに、ニンマリと笑顔を交わしたのだった。

一方、長女は村の広場で開かれていた「こども商店街」に釘付けだった。まさしくリアルなお店屋さんごっこ、女の子たちが「いらっしゃいませー!」と明るい声を響かせる姿は、可愛らしくもあり、また頼もしくもあった。10円や50円といったコドモのお小遣いで買えるものもあれば、物々交換もOKと声をかけてくれる女の子も。見ると木々にも可愛らしいアクセサリーがくくりつけられていて、娘は「見たい!抱っこして!」と通るたびにせがんだっけ。

今年もこのポトラッチマーケットやこども商店街が開かれるという。オトナはぜひ家で眠っているなにがしかを持ち寄った方がいい。コドモは自分で作ったモノや拾ったすてきなものを用意して。

そこではきっと、モノを介して人と触れあう楽しさに出会える。

④地物も! 美味しい食に笑顔になる

どこからか漂う、良い香り。NU VILLAGEには美味しい食がよく似合う。

「食庭」には美味しい出店もあれば、今年はふるまい酒、ふるまいジュースもあるという。素材にもこだわったメニューが多く、新しい味に出会える場でもある。そして単に食べて飲んでだけでなく、味噌の仕込みや無農薬野菜の販売も。もちろん、とっておきの食材を持ち寄って、木々の間で調理するのもいい。

美味しそうなものを食べている人を見かけたら、「それ、どこでゲットしたんですか?」なんて声をかけみようか。

⑤自然と温泉に癒やされる

特にイベントのない週末、「どこかにキャンプでも行こうかな」と検索していると、白州・尾白の森名水公園「べるが」にたどり着くことがある。生い茂る木々が心地よく、川があってしかも温泉もある……べるがはキャンプ場としてもかなりハイスペックだ。その証拠に、キャンプ場検索サイトの口コミでもハイスコアで評判が良い。

主婦的な発想でみると、キャンプ場としてステイするのにもそれなりに料金がかかるわけで、そこにちょっと上乗せするだけでこれだけの楽しみが待っていると思うと、NU VILLAGEは実にお得なイベントでもある。

9月も後半、川で遊ぶのもこれが最後かな……と思いつつ、水遊び用の服やサンダルを用意するところからNU VILLAGEは始まっている。そうそう、温泉用の入浴セットも忘れずに。目一杯遊んだあと、ふらりと歩いて温泉に行けるのも、NU VILLAGEの密やかな楽しみだ。(文=松岡絵里)